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- : Qiita から移植
TL; DR
" License: Public Domain
command! -bar -range=%
\ Reverse
\ keeppatterns <line1>,<line2>g/^/m<line1>-1
バージョン情報
:version
の一部
VIM - Vi IMproved 8.2 (2019 Dec 12, compiled Jan 26 2020 11:30:30) macOS version Included patches: 1-148 Huge version without GUI.
よく紹介されている手法
tac
/ tail
tac
や tail -r
などの外部コマンドを !
を使って呼び出し、置き換える。
:h v_!
tac
コマンドや tail
の -r
オプションは環境によって利用できないことがあり、複数の環境を行き来する場合に採用しづらい
:g/^/m0
こちらは外部コマンドに頼らず、Vim の機能のみを使う。g
は :global
コマンドの、m
は :move
コマンドの略
:global
コマンドは :[range]global/{pattern}/[command]
のように使い、[range]
で指定された範囲の行のうち、{pattern}
で指定された検索パターンにマッチする行に対して、順番に [command]
で指定された Ex コマンドを呼び出す。
:h :global
:move
コマンドは [range]:move {address}
のように使い、[range]
で指定された範囲の行を {address}
で指定された位置に移動させる。
:h :move
:g/^/m0
のように組み合わせると、「すべての行を1行ずつ 0行目(1行目の上)に動かす」という動きをする。これは確かに行の入れ替えになっている。
なお、:g/^/m0
は全ての行を入れ替えるが、:N,Mg/^/mN-1
とすることで N行目から M行目を処理範囲とするよう拡張できる。手でこれを入力するわけにはいかないので、次のようなコマンドを用意する。
command! -bar -range=%
\ Reverse
\ <line1>,<line2>g/^/m<line1>-1
これは望みの動作をするが、実際に実行してみると全行がハイライトされてしまう。次節で詳細を述べる。
:g/^/m0
の問題点
:global
コマンドは各行に対してマッチングを行う際、現在の検索パターンを上書きしてしまう。^
は行の先頭にマッチするため、結果として全ての行がハイライトされてしまう。'hlsearch'
オプションを無効にしている場合その限りではないが、その場合でも直前の検索パターンが失われてしまうと n
コマンドなどの際に不便である。
:h @/
解決策
[2020/9/28追記] より簡潔な方法を見つけたので次節に追記した
前述した :Reverse
コマンドの定義を少し変えて、次のようにする:
function! s:reverse_lines(from, to) abort
execute printf("%d,%dg/^/m%d", a:from, a:to, a:from - 1)
endfunction
command! -bar -range=%
\ Reverse
\ call <SID>reverse_lines(<line1>, <line2>)
実行しているコマンドが変わったわけではないが、関数呼び出しを経由するようにした。これだけで前述の問題が解決する。
この理由は、ユーザー定義関数を実行する際は検索パターンが一度保存され、実行が終了したあと復元されるため。結果として検索パターンが ^
で上書きされることがなくなる。
Vim のヘルプから該当箇所を引用する (強調は筆者による)。
:h autocmd-searchpat
Autocommands do not change the current search patterns. Vim saves the current search patterns before executing autocommands then restores them after the autocommands finish. This means that autocommands do not affect the strings highlighted with the `hlsearch' option.
これは autocommand の実行に関しての記述だが、これと同じことがユーザー定義関数の実行時にも適用される。このことは :nohlsearch
のヘルプにある。同じく該当箇所を引用する (強調は筆者による)。
:h :nohlsearch
(略) This command doesn’t work in an autocommand, because the highlighting state is saved and restored when executing autocommands |autocmd-searchpat|. Same thing for when invoking a user function.
この仕様により、:g/^/m0
の呼び出しをユーザー定義関数に切り出すことで上述の問題を解決できる。
解決策 (改訂版)
[2020/9/28追記] より簡潔な方法を見つけたため追記する
command! -bar -range=%
\ Reverse
\ keeppatterns <line1>,<line2>g/^/m<line1>-1
まさにこのための Exコマンド、:keeppatterns
が存在する。:keeppatterns {command}
のように使い、読んで字の如く、後ろに続く Exコマンドを「現在の検索パターンを保ったまま」実行する。はるかに分かりやすく意図を表現できる。
:h :keeppatterns