更新履歴

  1. : デジタルサーカス株式会社の社内記事として公開
  2. : ブログ記事として一般公開
NOTE
この記事は、2022-11-17 にデジタルサーカス株式会社 の社内 Qiita Team に公開された記事をベースに、加筆修正して一般公開したものです。

ハマったのでメモ。

前提

GitLab CI/CD について

GitLab CI/CD では、Docker executor を用いて任意の Docker image 上でスクリプトを走らせることができる。

例:

hello-world:
  stage: test
  image: alpine:latest
  script:
    - 'echo "Hello, World!"'
  rules:
    - if: '$CI_MERGE_REQUEST_IID'
  when: always

ここで、script に指定したコマンドが失敗する (exit status が 0 以外になる) と、即座に実行が停止され、ジョブは失敗する。

では、次のようなケースだとどうなるか。

hello-world:
  stage: test
  image: alpine:latest
  script:
    - 'exit 1 | exit 0'
  rules:
    - if: '$CI_MERGE_REQUEST_IID'
  when: always

失敗するコマンドをパイプに接続した。通常 Bash では、パイプの最後のコマンドの exit code が全体の exit code になる。

pipefail オプションについて

前述したようなケースにおいて、途中で失敗したときに全体を失敗させるには、pipefail オプションを有効にする。

# On にする
set -o pipefail
# Off にする
set +o pipefail

こうすると、パイプ全体が失敗するようになる。 この設定は、デフォルトだと off になっている。

発生した問題

次のような GitLab CI/CD ジョブが失敗してしまった。

hoge:
  stage: test
  image: alpine:latest
  script:
    - 'cat hoge.txt | grep piyo | sed -e "s/foo/bar/g"'
  rules:
    - if: '$CI_MERGE_REQUEST_IID'
  when: always

grep コマンドは、パターンにマッチする行が一行もなかったとき、exit code 1 を返す。よって、pipefail が on になっていると、このジョブは失敗する。 現在の pipefail がどうなっているか確かめるため set +o で全オプションを出力させたところ、pipefail が on になっていた。

しかし、先述したように Bash における pipefail のデフォルト値は off のはずだ。 実際に、ローカルで alpine:latest を動かしてみたところ、

$ docker run --rm alpine:latest sh -c "set +o"
set +o errexit
set +o noglob
set +o ignoreeof
set +o monitor
set +o noexec
set +o xtrace
set +o verbose
set +o noclobber
set +o allexport
set +o notify
set +o nounset
set +o vi
set +o pipefail

確かに pipefail は無効になっている。

なぜスクリプト内で set -o pipefail しているわけでもないのに pipefail が on になっているのか。

どこで pipefail が on になるか

.gitlab-ci.yml で明示的には書いていないので、GitLab Runner (GitLab CI/CD のスクリプトを実行するプログラム) が勝手に追加しているに違いない。 そう仮説を立てて GitLab Runner のリポジトリ を調査したところ、ソースコード中の以下の箇所set -o pipefail していることが判明した (コメントは筆者による)。

// pipefail オプションが存在しない環境にも対応するため、
// 先に set -o でオプション一覧を表示させたあと、set -o pipefail している
buf.WriteString("if set -o | grep pipefail > /dev/null; then set -o pipefail; fi; set -o errexit\n")

どのように解決するか

通常の Bash スクリプトを書く場合と同様に、pipefail が on になっていては困る場所だけ off にしてやればよい。

 hoge:
   stage: test
   image: alpine:latest
   script:
+    - 'set +o pipefail'
     - 'cat hoge.txt | grep piyo | sed -e "s/foo/bar/g"'
+    - 'set -o pipefail' # この例の場合、ここで終わりなので戻さなくてもよい
   rules:
     - if: '$CI_MERGE_REQUEST_IID'
   when: always

備考

なお、上述した実装ファイルは shells/bash.go だが、alpine:latest の例でもそうであったように、シェルが sh である場合にも適用される。