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はじめに
データ記述言語の一つ YAML には 1.0、1.1、1.2 のバージョンがある。 これらのうち、1.1 と 1.2 の間には無視できない非互換の変更が多く、1.2 に対応していないライブラリもある (Ruby 同梱の yaml
など)。 この記事では、YAML 1.1 と YAML 1.2 の主な破壊的変更を紹介する (影響範囲が広いものを抜粋しており、すべての非互換を網羅してはいない)。
参照した仕様書はこちら: https://yaml.org/spec/1.2.2/ext/changes/
主な破壊的変更
Boolean としてパースされるトークンが true
/ false
とその亜種のみに
この変更の影響が最も大きいと思われる。 YAML 1.1 では、boolean 値のリテラルとして true
、false
のほか yes
、no
、y
、n
、on
、off
、それらの大文字バージョンなどが認められていた。 YAML 1.2 では、true
と false
、それらの大文字バージョン (True
、TRUE
、False
、FALSE
) のみが boolean としてパースされるようになった。
八進数リテラルには 0o
が必須に
C 言語などでは、0
から始まる数字の列を八進数としてパースする。 YAML 1.1 もこれに準じていたが、1.2 からは 0o
のプレフィクスが必須となった ("o" は "octal" の "o")。 プログラミング言語では、Python や Haskell、Swift、Rust などがこの記法を採用している。
<<
によるマージが不可能に
YAML 1.1 では、<<
という文字列をキーに指定することで、マップをマージすることができた。
x: &base
a: 123
# => { "x": { "a": 123 } }
y:
<<: *base
b: 456
# => { "y": { "a": 123, "b": 456 } }
1.2 からはこれができなくなる。
数字を _
で区切るのが禁止に
1234567
を 1_234_567
と書けなくなった。
おわりに
全体的に、There's more than one way to do it. から There should be one - and preferably only one - obvious way to do it. へ移行しているように思われる。 データ記述言語としては望ましい方向性ではないかと感じる。